sinner cafe | シナー カフェ

CROSS X LINE | 日時:2007/08/07 00:13


ランチのメニューを聞いたのは、翌日ランチに来ようと思ったからだったんだけど・・・
 
 

『本日のランチ キーマカレーcase風』
 
 
 
メニュー用の黒板に白のチョークで書かれている文字を見て脱力。

……いやあ、うん、いいんだけどね。

キーマカレー好きだし・・・昨日鶏肉をって言ったくせに・・・
 


今日は仕事もあるから、カウンターはやめて奥の席に引っ込む。

ランチとドリンクを注文し、バッグから仕事道具を出していると…
 
 
「すみません」
 

声の方向を見ると女の子が立っていた。

その色白の、あまり飾り気の無い女の子の手には見覚えのある赤い本。
 

(ああ)
 

私はすっと身をよける。

女の子はぺこりと頭を下げて棚に本を戻す。
 

「ありがとうございます」
 
 
と言って女の子は去っていった。

ちょっと日本人離れした顔に惚れ惚れしつつ、戻された棚の本を見る。
 
 
(こんなの読む人いるのね~)
 
 
どれ、と私も手に取ってみるパラパラとページをめくるものの、すぐ本を閉じた。

見慣れない建物の写真や、どうやらそれらの設計図らしい。
 

が、私にはちんぷんかんぷんだ。
 

棚に戻そうかとも思ったけれど、そのままテーブルの上に本を置いた。
 
 

(下敷きに丁度いいじゃない)
 
 

テーブルの仕様で表面がガタガタしているのだ。
 

さて、休憩は1時間。さっさと終わらせちゃってご飯ご飯!

と思って仕事に集中していたら、平日なのに人が入ってくる。 珍しい。


こういうカフェは平日がらんとしているものなのに。
 
 
「はい、カレーですよー。」
 

ふと頭を上げるとジノ君だ。無表情。多分疲れているんだろう。
 
 
「ジノ君、お客さんにもう少し愛想を振りまいてもいいのよ?」
 
 
「そーですねー」 
 

出た。心の無い返事。

これがジノ君のチャームポイントになっているっていうのがおかしい。

もとい、すごい。
 

仕事は思いのほか速く片付いたから、ゆっくりランチを楽しもうと思っていたのに
ついいつものクセで一気に食べてしまった。
 

手持ち無沙汰になって、ぼんやりしていると、
 

ヴーヴー
 

うるさいなと思ったら私のケータイだ。慌てて出ると、お店からだった。
 

「はーい?どうしたのー」
 

「あ、今日ちょっと暇だからゆっくりしてきていいですよー。」
 

じゃあ遠慮なくーとか何とか言って電話を切る。

なんて気が利くスタッフなのぉ。
 
いいスタッフに囲まれて幸せだわ~と満腹感もあいまってぼへーっとしてしまう。

が、折角空いた時間だ。

ちょっとお買い物でもして戻ろう。

そうね、スタッフが喜びそうなお菓子でも買っていこうかな。
 

ごちそうさまでしたーと心の中で手を合わせてテーブルの上を片付ける。
 

下敷きに使っていた赤い本は、洋書でそこそこに大きくて厚さもあるから、
いいお値段がするんだろうな、と思う。

が、私にはその価値がさっぱりだ。
 

「ごめんね」と独り言を呟き、本を棚の元の位置に戻した。
 

バッグを肩に掛けてレジに向かう。

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