





平行にのびる二本の線は、同じ方を向いて真っ直ぐ進んでいく。
―――交わることなく、永遠に。

カランカラン
「いらっしゃ―――」
「こんにちはー!いつもので!」
ジノ君が顔を上げて「あ」と気付く。
「相変わらず元気っすねえ、楠木さん。―――で、いつものって何すかね?」
「そりゃあ楠木サンのいつものって言えばジノ君、わかんないの?ほら、アレよ、アレ。……えーっと、どっちにしよう。」
「迷ってんじゃないですか!」
私は思わずにやにや笑う。
普段「カンケーないっすね」が口癖のジノ君をいぢるのは、私のささやかな楽しみだ。
いや、別にSってわけではないんだけど。
ジノ君との会話は楽しいという話。
さて、やつを待ちますか。
腕時計を見るとまだ時間があるのでカウンターの席に座り、
「お先に」と心の中で呟いてドリンクメニューを開いてみる。
(……。とりあえず、生かな)
パタンとろくに見ていないメニューを閉じ、注文しようと顔を上げると、あらステキ。
黄金色の飲み物が隣に…って店長がグラスになみなみと注がれた生ビールを持って立っている。
「さすが!」
「いやあ、やっぱり楠木さんったらコレでしょ?。」
「ですよねー。それに比べてジノ君はー。」と私。
「ジノ君はー」と後に続く店長。
ジノ君は心外そうに「なんすか!何なんすか!そういうの流行っているの?!」と喚く。
そんなジノ君の姿をサカナに、お楽しみの生ビールをば。
「いっただっきまぁす!」
ぐびぐびーっと勢い良くグラスを空けて、「おいっしー!」と言ったら
ヒロヤがジノ君にボソリと、
「楠木さん、黙っていたら綺麗なんですけどね…」
いや、聞こえているよ、ヒロヤ。
つっこもうかと思ったけれど、駄目だ。あの子は天然だから。
心優しい私は聞こえないフリをして店長と話をする。
今日お店に来た面白おかしい人の話なんかを・・・