





「同じ本、だよねえ?」
「ですよねえ。」
英語のタイトルも同じ、だ。
ヒロヤは何を思ったのか、3冊、カウンターに並べてみた。
「何の意味が」
「いや、特には。」
なぜ照れる、ヒロヤ。
「なんか、色ちょっと違いません?」とジノ君。
「そう?光の加減じゃない?」
「そういえば、ちょっと違うかも…。日に焼けたとか。」とヒロヤ。
私も目を凝らすと、確かにちょっとずつどれも色が違う気がした。
3つの赤。
(あ。)
春の新作スイーツ、思いついてしまった。
私はいそいそとカウンターの中に入って早速思いつきスイーツを作ってみることにした。
1.イチゴは洗ってヘタを取り、クランベリーとラズベリーを適当な大きさに切ります。
「店長、何か手伝いますか?」
でた、ジノ君のやる気はないけどとりあえず言っておくトーク。
この世渡り上手めっ。
「だいじょーぶでーす」
2.鍋にイチゴを入れ、イチゴの5パーセントの重さのグラニュー糖をイチゴの上に入れて20分間そのままにします。
大好きなルクルーゼの鍋にイチゴを投入!
「ん?イチゴの5パーセントの重さ…?」
「イチゴは何グラムなんですか?」とココロ優しいヒロヤ君。
「300グラム」
「15グラムっすね」横からぼそりとジノ君。
「…」
なぜだろう。答えを教えてくれたジノ君よりヒロヤがかわいく見えるのは。
―――10分経過。
「ぼーっ」
「店長、声に出して言わなくても」
「だって、他にすることないんだもの」
「いや、そもそも別に見ていなくても」
「いーの、見ていたいのっ」
ふと脇を見ると、遠い目で微笑んでいるヒロヤがいた。
あああ、絶対子どもだと思われている!
私が一番年上なのに!
3.グラニュー糖が少し溶けたら中火にかけ、沸騰させます。アクが出てきたらこまめにすくいましょう。火は中火から弱火くらいで煮詰め、ジャム状になったところで火をとめて冷まします。
ふむ、我ながら手際がいい。アク取もぬかりなく。
鮮やかな赤いイチゴジャムもどき。てかてかに光って、チープなおもちゃのルビーに似ている。
4.その間に、卵黄をボールに入れて溶きます。一回り大きなボールに氷水を張り、その上に卵黄が入ったボールを置いて、生クリームと牛乳を入れて冷やしながらかき混ぜましょう。
残念だけれどうちにジェラートマシンなんて高等なものはないので、氷水をボールに張って気長に混ぜ続ける。
「ジノ君、うで疲れた」
「がんばってくださーい」
…ジノ君の声援は、聞くからにやる気がない。というか、そもそも応援する気がないんだろう。
「手伝いましょうか?」
と横からヒロヤ。
「いいの、いいの。もう少しだから。ありがとう。」
ヒロヤの笑顔に励まされつつ、かき混ぜ作業続行。
5.かき混ぜること30分。後は冷凍庫に入れて、食べ頃のかたさになるまで待って完成。
ほどよいかたさになったソレをペロリとなめて冷蔵庫前ににんまりしていると、
「お、出来たんですか?」 と ヒロヤ。
「うむ。できたよ~」
何なに?とジノ君も身を乗り出す。
私は手早く皿に3種類のジェラートを盛り合わせてしたり顔。
「真っ赤なベリーのジェラート盛り合わせ、出来上がり♪」
うん、これも春のスイーツ候補だね。
「ん~おいしい♪」
カランカラン
「ほれ、お客さん!」
「いらっしゃいませー」
チャプター2へ続く